「KOKI ZOO 木下晃希どうぶつ画集」人と技術とこころのものがたり
作家の世界を「本」として表現するために、編集、デザイン、印刷、製本にさまざまな工夫が行われています。どのような人たちが、どのような技術で、どのような気持ちで制作に関わったのでしょうか。
本ができるまでのストーリーをご紹介します。
エピソード3:fruit cafe Saita! Saita! 大切な場所でどこよりも早く先行販売 (2024年11月3日公開)
エピソード2:美篶堂(みすずどう) x KOKI ZOO「なんて愛らしい本!」(2024年10月13日公開)
エピソード1:藤原印刷 x KOKI ZOO「ポジティブな印象が伝わる印刷を」(2024年10月4日公開)
今後順次公開していきます!お楽しみに!
エピソード3:fruit cafe Saita!Saita! 大切な場所でどこよりも早く先行販売
木下晃希さんが、はじめての作品展を開いたのはまだ高校1年生だった2017年。場所は神戸元町の fruit cafe Saita! Saita! さん。2004年の開店以来、新鮮なフルーツをふんだんに使ったスムージー、ジュース、フルーツサンド、パフェなどが大人気のお店です。
オーナーさんご夫妻はずっと、作家をあたたかく応援してくださっているそうです。冬の「アトリエこうき作品展」は、ほぼ恒例となり、今年も11月7日(木)〜12月15日(日)まで開かれます。
神戸市中央区相生町1-1-15
カーサ・ルーチェビル1F
078-362-6737
平日11:30〜18:30 (L.O. 18:00)
土日祝 11:30〜17:30 (L.O. 17:00)
定休日 火曜・水曜 11月24日(日)
木下晃希さんにとっては「原点」とも「聖地」ともいえる場であることから、Studio Kとしても、今年はぜひ初画集を置いていただきたいと、製本会社の美篶堂さんに「できたぶんからください!」とお願いし、どこよりも早く先行販売ができることになりました。
「KOKI ZOO 木下晃希どうぶつ画集」
寸法:12.7 x 1.4 x 16.5 cm
頁数:64頁
収録作品点数:44点
価格:3,600円(税別)
作品展の詳細は、お店のホームページ、SNSをご覧ください。なお今回、原画の販売はありません。
公式発売も間近!ネット&リアル書店でお求めいただけるようになりますので、発売日が決定したらまたお知らせします。
エピソード2:美篶堂 x KOKI ZOO 「なんて愛らしい本!」
美篶堂(みすずどう)は長野県伊那市美篶に製本所、東京に営業所を持つ製本会社です。1983年、製本職人の上島松男さんが創業して以来、手製本を得意として、造本にこだわるクリエイターやアーティストが思わず唸る、工芸品のような本を世に送り出し続けています。
今年85歳の上島松男さんは「親方」として慕われる存在。現在、製本所を束ねるのは熟練の製本職人で工場長の上島真一さんです。一方、出版社、作家、アーティストなど「美篶堂で本を作ってもらいたい人」と現場をつなぐのは上島明子さん。『KOKI ZOO』でも、「どんな本にするか」の段階から相談にのっていただきました。
今回の本のつくりは「ドイツ装」と呼ばれるものです。「大きい絵は180度開ける見開きで、真ん中を切らずに見せたい」というこだわりを叶えるためには、このつくりでなければなりませんでした。紙を2つ折りにして、背中を糊で固めています。
先日、製本が始まったところで、製本所におじゃましてきました。手で本を作ること自体、想像がつかない方のほうが多いかもしれません。動画でその様子をまとめましたのでぜひご覧ください。熟練の製本職人の手さばき、何気なくやっているように見えるところがまたすごいんです。
機械製本が進み……なんて言っていたのもすでに昔話になり、「紙の本」という言葉への違和感も薄れるほど電子書籍が増えている今日、『KOKI ZOO』はこんなふうに1冊ずつ手で作られています。記念すべき1冊目は作家にお届けしました。動画の最後に登場してくれています。みなさまに手に取っていただける日も、もうすぐです。
いろいろな工夫をしてくださった上島真一さん、「なんて愛らしい本」と言ってくださった上島明子さんをはじめ、心を込めて作業をしてくださった美篶堂のみなさま、ほんとうにありがとうございました。
エピソード1:藤原印刷 x KOKI ZOO
「ポジティブな印象が伝わる印刷を」
藤原印刷は、1955年、ひとりの女性タイピストが自宅の片隅で立ち上げた「藤原タイプ社」を始まりとする印刷会社。
今日は3代目にあたる兄弟のおふたりが最前線で力を発揮。どんな希望でも実現する方法を一緒に考えてくれると、あらゆる方面から引っ張りだこの人気です。
今回も「絶対に満足していただけるようにします」との力強い言葉通り、綿密な打ち合わせ、色校正を経て、本番印刷ではデザイナーが「わあ!」と声をあげたほど、大納得の素晴らしい仕上がりになりました。
技術的なこととしては、紙はふんわりとやさしい風合いのモンテルキアを選択。インキは、ポスカの鮮やかさを表現するために、基本のシアン・マゼンダ・イエロー・ブラックに蛍光色を特別に調合した特色インキを使用。厚手の紙ながらもUV印刷で瞬時に乾燥、硬化させるので、インキをたっぷり持っても沈み込みはありません。
そして、何よりも感動したのは、その技術を変幻自在に使いこなして、作品のメッセージを解釈し、本という印刷物に展開していただいたこと。
「晃希さんの絵のメッセージ、ポジティブな印象を表現したかった」というプリンティングディレクターの言葉に、「思わず笑顔になる」という作家ファンの声が重なり、胸が熱くなります。藤原印刷さんの名刺に入っている「心刷」の言葉の意味がすとんと腹落ちしました。
こちらの想いを丁寧にくみとってくださった営業の藤原章次さん、プリンティングディレクターの花岡秀明さん、機長をはじめ、工場のみなさん、ほんとうにありがとうございました。